2/22橋本大阪市長の「小中学での留年制度の提案」は…

2013年2月21日毎日新聞WEB

大阪市橋下徹市長が、小中学生であっても目標の学力レベルに達しない場合は留年させるべきだとして、義務教育課程での留年を検討するよう市教委に 指示していたことが分かった。法的には可能だが、文部科は年齢に応じた進級を基本としており、実際の例はほとんどないという。

 橋下市長は、市教委幹部へのメールで「義務教育で本当に必要なのは、きちんと目標レベルに達するまで面倒を見ること」「留年は子供のため」などと指摘。留年について弾力的に考えるよう伝えた。

文科省によると、学校教育法施行規則は、各学年の修了や卒業は児童生徒の平素の成績を評価して認定するよう定めており、校長の判断次第では留年も可能。外国籍の生徒で保護者が強く望んだ場合などに検討されることがあるという。

 市教委も「学校長の判断で原級留置(留年)できる」としているが、実際は病気などで出席日数がゼロでも進級させているという。担当者は「昔は長期の病気欠席などでごくまれにあったと聞いているが、子供への精神的影響も大きい」と話している。

こりゃあ興味深い…
「小中学で留年させるべき」

勿論橋本氏のいつもの「大げさな表現で驚かせ、そこから皆を考えさせる」という手法なのですから、これを文理的解釈で云々する事は意味がありません。

この提案の意図はなにか?留年という事の意義はなんであるのか…それを考えなくては無りません。

①留年による精神的影響というデメリットは当然考慮されるべき…
すなわち実際にこの措置はなされないと考える事が先ず必要です。

②各学年で未理解であるまま進級することの弊害

これは、「素人」の方はなかなか理解できていないことなのではないでしょうか。たとえ自分がそうであったとしても、そのような「都合の悪い事」はおそらく忘れてしまっている事でありましょう。

実際に中学卒業段階で、教科書の内容(英数理国社の主要5教科)を100%理解している者はほとんどいません。8割以上理解しているもので約10%〜20%であると言えます。

これは、教科書内容を範囲として出題される公立高校の入試問題の正答率を見るとはっきりします。

「入試問題は応用問題だから…」

ははは…「応用することができない基礎知識・基礎理論」というものが無意味であり、応用できないのならば知識や理論を解ったとは言えない…という事ぐらい職業経験を重ねた大人なら解っているはずですよねw

ちなみに高校卒業段階で、教科書の内容を9割理解(使えるように)すれば、京大や東大、もしくは国立医学部に合格する事ができます。

なぜこのような低い理解率になるのか…これは学習進度に問題があります。理解できなくなるのは前段階での学習において不完全な理解で終わっているために起こります。

たとえば掛け算の計算操作があやふやであれば、割り算での学習ではもっとあやふやになります。そのままで分数の勉強をすれば…

このようなことが6.3.3.の12年間積み重なれば、それはもう大きな知性の差が生まれます。

というか厳密に言えば(自己努力がないとすれば)ほとんどの者がある時点で、学校での学習によって知性を発達させる事ができない状況である…という事すら出来ます。

ですから「留年」させることによって、確実に知識や理論を各段階で身につけて、それから次の高次の段階に進み知性を段階的に成長させていく事ができます。

勿論、人間は機械ではありませんので「モチベーション」などの精神的作用が必要となります。①の点を配慮されなければならないのは、学習内容を理解していく上からも必要なのです。

さて
この橋本氏の提案は非常に重要な事を示唆しています。

正直申し上げて、高度に発達した資本主義経済の国では、そこに必要な労働者は知的能力の高い労働者です。それが低い者は「ある程度までしか」必要とされないわけです。

これは経済学での言われる諸法則からも示唆される事なのですが、「低賃金労働力確保のための工場の海外移転」などの現実の現象からそれを理解していただきたいと思います。

そういった中で求められる国民は…

そのような事をこの「留年制度の提案」は示唆しています。