強く育てる…大人の責任

(読売オンライン5月8日)
就職活動の失敗を苦に自殺する10〜20歳代の若者が、急増している。

 2007年から自殺原因を分析する警察庁によると、昨年は大学生など150人が就活の悩みで自殺しており、07年の2・5倍に増えた。

 警察庁は、06年の自殺対策基本法施行を受け、翌07年から自殺者の原因を遺書や生前のメモなどから詳しく分析。10〜20歳代の自殺者で就活が原因と見なされたケースは、07年は60人だったが、08年には91人に急増。毎年、男性が8〜9割を占め、昨年は、特に学生が52人と07年の3・2倍に増えた。

 背景には雇用情勢の悪化がある。厚生労働省によると、大学生の就職率は08年4月には96・9%。同9月のリーマンショックを経て、翌09年4月には95・7%へ低下。東日本大震災の影響を受けた昨年4月、過去最低の91・0%へ落ち込んだ。

これはあまりにも驚きの?悲しい?虚しい?傾向です。
ある友人がこの件についてこう言っていました。

「忠告だったりダメだしを非難された。て感じる人が多くなっている気がしますそういう人は間違いなく打たれ弱いですよね?」

就職試験に落ちる、採用されないという事は、その会社で働くには何らかの能力が足りないという「忠告」や「ダメだし」なわけですから、それを改善すれば良いことなのです。

それが「できない」と思ってしまうのか、それとも「今の自分を受け入れてもらう」ということが、なにか当たり前のように思っているから、全面否定されたと思うのかもしれません。

まあ、甘えているというか、有る意味「傲慢な」姿勢であると言わざるを得ません。
ご遺族にはお気の毒ですが、死んでしまうのも仕方が無いようにも思えます。

私はこのGWに鳥取県へ高校生のヨット大会に、「ひ弱なエリート高校の生徒」を参加させに行きました。

日本海での大会らしく、大きな波がたち強い風が吹くハードなコンデションで有名な大会です。

3日間の大会のうち2日間は、いつもの琵琶湖では味わえないような天候でした。2日目は強風のためブームで頭を打ち脳震盪で意識を失った少女が救急車で搬送されました。(CTの結果でも問題はありませんでした。)3日目は参加50艇農地10数艇が帆走できず、そのほとんどが洋上で艇体放棄…乗員だけ救助されました。

中には低体温症でやはり救急車で搬送される少女もいました。(病院ですぐに回復しました)

連れて行った高校生も、洋上で救助され安易な服装で出艇したため、あわや低体温症となるところでした。(勿論、ハーバーの温水シャワーを浴びすぐに回復しましたが)

このような厳しいコンデションの中なぜレースをしたのか?
主催者は何を考えているのか?もっと安全に配慮すべきであろう…

おそらく一般の「常識」ではそのように思われるかもしれません。

実際に…もし琵琶湖での試合であれば今回のような天候ではレースはおこなわれないでしょう。「安全に配慮」して…です。

鳥取県セーリング連盟ではこのようなレースを28年もおこない続けています。(28年前の鳥取国体開催時からだそうです)

おそらく高校生達に「失敗させる」ためにこのレースを続けているのではないかと私は思います。彼らに「海の怖さ」や「あわや」と思わせるところまで経験させるために大会を開催しているのでしょう。

実はこの大会では琵琶湖でのレースや他の大会では比較できない位の救助体制がしかれていました。高校生達に「失敗させる」為の備えといっても良いでしょう。絶対に事故は起こさないという主催者の強い意志が感じられる体制でありました。

(ちなみに琵琶湖のハーバーでは温水シャワー設備すらありません。)

さて

日常の子育てや教育指導の現場で、鳥取県セーリング連盟さんのような「志と備え」を大人はもっているのでしょうか?

子供が安全に…
子供が傷つか無いように…
褒めて自信をつけさせる…
心のケア…

ここ20年くらいの教育の現場はこのような「子供に配慮した」指導方針や方法が溢れるようになりました。

これは本当の「配慮」なのでしょうか?

大人の側が子供を育てる・強くするための責任も能力も無いが為の「ごまかし」としか私には思えません。

実は弱くなっているのは子供達ではなく大人なのではないでしょうか…

鳥取の海で私はそう思いました・